
名古屋でホームページ制作、広告制作を行うデザイン事務所ZoDDoです。
これから独立する方、独立後に事業が成長して法人化を悩まれている方からご相談を頂くことがあります。開業する方は広告制作・内装工事など事業に必要なツール制作のご依頼、事業が成長された方からは今後の事業計画の相談を頂いたりしています。
さて、個人事業主から法人化のタイミングって悩みますよね。
事業がどれくらいの規模なら法人化するべきか・・・今回は税理士の先生にお話を伺ってみました!
こんな方にオススメの記事です!
- 独立・開業を考えている方
- 法人化するタイミングを知りたい方
- 決算が近い方
個人事業主と法人の基本的な違い
「個人事業主と法人って、そもそも何が違うの?」
起業を考えている人なら、一度はこう疑問に思ったことがあるはず。
ざっくり言うと、「個人事業主」は、事業をしている人がそのまま事業の責任者となる形態。一方、「法人」は、法律上、独立した会社として存在し、個人とは別の存在として扱われるという違いがあります。では、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
個人事業主とは?
個人事業主は、名前の通り「個人」で事業を行うスタイルです。
開業の手続きは非常にシンプルで、税務署に「開業届」を提出するだけ。初期費用もほぼゼロで始められるため、気軽にスタートできるのがメリットです。
ただし、売上や利益がすべて「個人の所得」として扱われるため、所得税の計算がシンプルである一方、一定以上の利益が出ると税負担が重くなるデメリットも。
法人とは?
法人は、「会社」として事業を行う形態です。会社を設立するためには、登記が必要で、最低でも数万円〜数十万円の設立費用がかかります。また、法人は「法人税」が適用され、事業の利益に応じて税金を支払う仕組み。
法人化の大きなメリットは、会社の利益を「経費」として処理できる範囲が広がること。
例えば、自分の給与を法人の経費にすることができるので、税負担を軽減しやすくなります。
手続きの違い
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
設立手続き | 税務署に開業届を提出するだけ | 法務局で会社登記が必要 |
設立費用 | ほぼゼロ | 数万円〜数十万円 |
税金 | 所得税・住民税 | 法人税・法人住民税 |
社会的信用 | やや低め | 高め |
事務手続き | 比較的簡単 | 会計・税務が複雑 |
このように、個人事業主は気軽に始められる一方、法人のほうが制度的に有利な点も多いのが特徴です。
税金と申告の違い
個人事業主と法人で、「税金の仕組み」が大きく異なるのはご存知でしょうか?
税金は経営に直結する重要なポイントなので、しっかり理解しておきましょう。
個人事業主の税金
個人事業主が支払う主な税金は以下の通りです。
- 所得税(累進課税)
- 住民税
- 個人事業税(一定の業種のみ)
- 消費税(売上1000万円以上で課税)
特に注意すべきは、所得税が累進課税であること。
累進課税とは、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みのことです。
所得(年間) | 税率 |
---|---|
〜195万円 | 5% |
195万円〜330万円 | 10% |
330万円〜695万円 | 20% |
695万円〜900万円 | 23% |
900万円〜1800万円 | 33% |
1800万円〜4000万円 | 40% |
4000万円以上 | 45% |
例えば、所得が500万円の個人事業主の場合、税率は20%。
しかし、1000万円を超えると一気に33%へ上がるため、売上が増えると「税金が増えすぎる」と感じることも。
さらに、事業で得た利益は「すべて個人の所得」として計算されるため、売上が増えた分だけ税負担が重くなるのが個人事業主のデメリットです。
法人の税金
法人の場合、支払う主な税金は以下の通りです。
- 法人税(一定の税率)
- 法人住民税
- 法人事業税
- 消費税(売上1000万円以上で課税)
法人税の税率(2024年)
法人の年間所得 | 税率 |
---|---|
800万円以下 | 15% |
800万円超 | 23.2% |
※最新の法人税率については国税庁ホームページをご確認ください。
法人税の特徴は、所得税と違って税率が一定であること。
つまり、法人化すると高所得でも税率が上がりにくいのです。
例えば、年間1000万円の利益を得る場合:
- 個人事業主の場合、累進課税で33%の税率
- 法人の場合、800万円までは15%、超過分は23.2%
この時点で、法人のほうが税負担が軽くなるケースがあるのが分かりますね。
節税の違い
法人化すると、**「節税の自由度」**が高まるのもポイントです。
例えば、以下のような節税策が可能になります。
- 社長の給与を経費にできる
- 個人事業主の「所得」は事業利益そのものですが、法人は「役員報酬(給与)」を設定できる
- 給与として支払うことで法人の利益を圧縮し、法人税を抑えることが可能
- 経費にできる範囲が広がる
- 個人事業主は「事業に直接関係あるもの」しか経費にならない
- 法人は「役員報酬」「退職金」「福利厚生費」なども経費にできる
- 決算期を自由に決められる
- 個人事業主は毎年12月31日が決算と決まっている
- 法人なら決算月を自由に選べるため、利益調整がしやすい
消費税の課税タイミング
売上が1000万円を超えると、個人事業主・法人どちらも「消費税」の納税義務が発生します。
ただし、法人を新設すると「最初の2年間は消費税が免除」されるというメリットも。
これは、売上が1000万円を超えそうな個人事業主にとって大きな節税ポイントです。
まとめ:個人事業主と法人の税金の違い
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
所得税 | 累進課税(最大45%) | 法人税(15% or 23.2%) |
給与の扱い | なし(所得=事業利益) | 役員報酬を設定できる |
経費の範囲 | 事業関連のみ | 役員報酬・退職金も経費可能 |
消費税の課税 | 売上1000万円以上 | 売上1000万円以上(設立後2年間は免税) |
利益と売上に関する違い
「法人化すると売上・利益の管理はどう変わるの?」
「どのくらいの売上があれば法人化すべき?」
こうした疑問は、多くの個人事業主が抱える悩みです。
ここでは、売上・利益の観点から個人事業主と法人の違いを解説していきます。
① 個人事業主と法人の「利益」の考え方の違い
まず、「売上」と「利益」の違いを整理しておきましょう。
- 売上 = 事業で得た総額
- 利益 = 売上 - 経費 - 税金
では、個人事業主と法人で、利益の扱いがどう変わるのか?
ポイントは、個人事業主は「利益 = 事業主の所得」になるのに対し、法人は「利益 = 会社の所得」として別管理になることです。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
利益の扱い | 事業主の所得として計算 | 会社の利益として計算 |
給与の扱い | なし(利益=個人の所得) | 役員報酬(給与)を設定できる |
経費の範囲 | 限定的 | 役員報酬や福利厚生も経費化可能 |
個人事業主は「利益=収入」になるため、利益が増えると税率も上がるのが特徴。
一方で、法人は役員報酬(給与)として利益を分配することで、法人税と所得税を調整できるのが大きな違いです。
② 売上がいくらなら法人化を考えるべき?
結論から言うと、「売上1000万円以上」が法人化の目安とされています。
その理由は、以下の3つです。
1. 累進課税の負担が重くなる
個人事業主の税率は累進課税なので、所得が増えると税金の負担が大きくなります。
所得が900万円を超えると33%、1800万円を超えると40%**に跳ね上がるため、高所得の人ほど法人化の恩恵が大きい。
2. 法人なら節税の幅が広がる
法人は、給与・退職金・経費の活用によって利益を圧縮できるため、売上1000万円を超えたら法人化を考えたほうが節税メリットが大きい。
3. 消費税の免税メリット
法人を設立すると最初の2年間は消費税が免除される。
個人事業主として売上1000万円を超えると消費税が発生するため、売上が1000万円を超えるタイミングで法人化すると税負担を軽減できる。
③ 社長給与を経費にできるメリット
法人化すると、自分の給与を「役員報酬」として支払うことが可能になります。
これは、以下の2つのメリットにつながります。
1. 法人税を軽減できる
役員報酬は法人の経費として計上できるため、会社の利益を抑えることで法人税を削減できます。
2. 社会保険に加入できる
個人事業主は基本的に国民健康保険と国民年金ですが、法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)に加入可能になります。
老後の年金額が増えるメリットも。
④ まとめ:法人化すべき売上の目安
年間売上 | 法人化の必要性 |
---|---|
〜500万円 | 個人事業主でOK |
500万〜1000万円 | 法人化を検討(節税メリットは少ない) |
1000万円〜2000万円 | 法人化がおすすめ(消費税・節税対策で有利) |
2000万円以上 | 法人化必須(税率・資金調達の面でもメリット大) |
売上が1000万円を超えたら、法人化を真剣に検討すべきと考えて良いでしょう。
社会的信用と取引先の変化
「法人のほうが信用されやすいって本当?」
「法人化すると、取引先や銀行からの評価が変わる?」
個人事業主と法人では、ビジネス上の信頼度が大きく違うと言われています。
では、具体的にどんな影響があるのか?解説していきます。
① 法人のほうが信用されやすい理由
「個人事業主より法人のほうが信用されやすい」というのは、多くの企業が実感していることです。
なぜかというと、法人には以下のような特徴があるからです。
1. 法律的に独立した存在
- 個人事業主は、事業者と事業が一体化しているため、経営者本人の信用=事業の信用になります。
- 一方、法人は**「会社」という独立した組織**として認められ、事業主の個人信用とは切り離されるため、対外的な信用力が上がる。
2. 取引のリスクが低い
- 個人事業主は、事業が失敗すると経営者本人がすべての責任を負うため、取引先から慎重に見られることがある。
- 法人の場合、**万が一倒産しても「有限責任」**となるため、取引先もリスクを抑えて取引できる。
3. 取引先が「法人との取引」を求めるケースがある
- 一定規模以上の企業(大企業・行政機関など)は、個人事業主との直接取引を避ける傾向がある。
- これは、法人と比べて事業の継続性や財務基盤が弱いと判断されやすいため。
- 法人化することで、取引の幅が広がる可能性が高い。
② 法人化による銀行融資・資金調達のしやすさ
個人事業主と法人では、銀行からの評価が大きく変わります。
特に「融資を受けたい」「事業拡大のための資金調達をしたい」と考えている人は、法人化を検討する価値が大きいです。
銀行融資を受ける際の評価の違い
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
銀行評価 | 信用力が低く融資が厳しい | 信用力が高く融資を受けやすい |
借入できる金額 | 小口(数百万円程度が限界) | 大口(数千万円以上も可能) |
借入の審査基準 | 事業主本人の信用(個人信用情報) | 会社の信用・事業計画 |
銀行は、個人事業主に対して**「個人の信用情報」を基準に審査するため、カードローンの審査とあまり変わらないことが多いです。
一方、法人の場合は事業計画や決算書を基に審査**するため、大きな融資を受ける可能性が広がる。
法人のほうが融資を受けやすい理由
- 会社としての財務状況を評価してもらえる
- 法人のほうが事業継続性が高いとみなされる
- 法人は複数の銀行と取引しやすい(金融機関からの信用度が上がる)
③ 採用や契約のしやすさ
個人事業主と法人では、「人材採用」や「外部との契約」のしやすさも違います。
法人のほうが採用しやすい
- 個人事業主のデメリット:基本的にアルバイトや業務委託しか雇用しづらい。
- 法人のメリット:社会保険を完備できるため、優秀な人材を雇いやすい。
特に、正社員を雇う場合は法人化が必須。
個人事業主でも雇用は可能ですが、社会保険加入義務がないため、求職者から見て安定性に欠けると判断されがちです。
法人は外部契約がスムーズ
法人化すると、企業や行政との契約がしやすくなるメリットもあります。
- 企業との契約:法人化すると取引先が増える可能性が高い。
- 行政との契約:官公庁の仕事を請け負う場合、法人でなければ契約できないケースもある。
④ まとめ:法人化すると信用力が向上する
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
取引先の信用度 | やや低い(小規模取引向き) | 高い(大企業や行政とも取引可能) |
銀行融資の受けやすさ | 厳しい(小口融資が限界) | 受けやすい(大口融資も可能) |
採用のしやすさ | アルバイト・業務委託中心 | 正社員雇用が可能 |
契約の幅 | 小規模な契約が多い | 企業・行政との契約がしやすい |
法人化することで、事業の信用力が上がり、融資・取引・採用の面で大きなメリットを得られるのが特徴です。
法人化のデメリットと向いている人
「法人化すると、いろいろとメリットがあるのはわかった。でも、デメリットもあるのでは?」
「法人化したほうが良い人と、しないほうがいい人の違いは?」
法人化は確かに多くのメリットがありますが、一方でデメリットも無視できません。
ここでは、法人化の注意点と、法人化が向いている人・向いていない人の違いについて詳しく解説します。
① 法人化のデメリット
法人化には多くの利点があるものの、次のようなデメリットがあることも忘れてはいけません。
1. 設立・維持にコストがかかる
個人事業主の場合、開業届を出すだけで設立可能ですが、法人は設立に手間と費用がかかります。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
設立費用 | 0円 | 10万円〜30万円(登録免許税・定款認証費用など) |
維持費 | ほぼ不要 | 法人住民税・税理士費用など毎年数十万円 |
さらに、法人は赤字でも最低限の税金(法人住民税約7万円)が発生するため、事業が不安定なうちは個人事業主のほうが負担が少ないと言えます。
2. 会計・税務の手続きが複雑になる
個人事業主なら、会計ソフトを使えば確定申告も自分でできるケースが多いですが、法人化すると会計処理が一気に複雑になります。
- 法人は決算書の作成が必要
- 法人税の申告は専門知識が必要
- 税理士を雇う必要がある(顧問料が発生)
法人化すると、税理士費用が年間30万円以上かかることもあるため、経理の負担やコストを考慮する必要があります。
3. 資金繰りが厳しくなることも
法人化すると、社長(事業主)の個人と法人のお金を分けて考える必要があります。
つまり、「法人の銀行口座のお金=社長のお金」ではなくなります。
- 個人事業主:事業の利益を自由に使える
- 法人:会社の利益は会社のお金。社長の収入は「役員報酬」として設定する必要がある
例えば、法人の利益が出ていても、「役員報酬を低く設定してしまうと、社長個人の生活費が足りなくなる」こともあります。
そのため、資金繰りの管理がよりシビアになる点も法人化のデメリットと言えます。
② 法人化が向いている人・向いていない人
では、法人化すべき人と、まだ個人事業主のままでいい人の違いは何でしょうか?
法人化すべき人
✔ 売上が1,000万円を超えた人
✔ 利益が500万円以上あり、税金の負担が大きくなっている人
✔ 大企業や行政と取引をしたい人
✔ 銀行融資や投資を受けて事業を拡大したい人
✔ 従業員を雇い、組織的に経営したい人
✔ 社会的信用を高めたい人
売上や利益が大きくなると、節税・融資・信用力の面で法人化のメリットが大きくなるため、法人化を検討するべきです。
法人化しないほうがいい人
✔ 売上がまだ安定していない人
✔ 税金の負担がそこまで重くない人(利益500万円以下)
✔ 事務手続きや会計の負担を減らしたい人
✔ 少額の事業資金で運営している人
売上が安定しないうちは、法人化のコストや維持費が負担になる可能性があるため、個人事業主のままでいたほうが良いでしょう。
③ 法人化のタイミングはいつ?
「法人化しようと思うけど、いつがベスト?」
この疑問を持っている人のために、法人化のタイミングをまとめました。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
設立コスト | 0円 | 10万円〜30万円 |
会計処理 | 簡単 | 複雑(税理士が必要) |
維持コスト | ほぼなし | 毎年最低7万円の法人住民税 |
税率 | 累進課税(最大45%) | 法人税(最大23.2%) |
社会的信用 | やや低い | 高い(取引先・銀行の評価UP) |
資金調達 | 小口融資が限界 | 大口融資が受けやすい |
採用のしやすさ | 難しい | 社会保険完備で雇用しやすい |
法人化にはコストや事務負担の増加といったデメリットもありますが、売上・利益が一定以上になると、法人化したほうが有利なケースが多いのがポイントです。
あなたの事業に合った選択を!
法人化にはメリットもデメリットもありますが、事業の成長や売上規模によって最適な選択肢は変わります。
✔ 「とりあえず事業を始めたい」なら、まずは個人事業主でOK!
✔ 「売上・利益が伸びてきた」「取引先との関係を強化したい」なら法人化を検討!
あなたの事業の未来を見据え、最適な形態を選んでいきましょう!