
製造業、建設業をはじめ、どの業界も人材不足に苦労しています。
中でも中途採用は、即戦力確保のために多くの企業が重視しています。
しかし「応募が集まらない」「良い人ほど辞退する」「採用したのにすぐ退職」など、思うような成果が出ていない企業も少なくありません。
実は中途採用が失敗する企業には、共通した特徴があります。
本記事では、10年以上人材戦略を支援してきた経験とデータに基づき、採用活動が失敗する理由と改善ポイントを徹底解説します。
目次
中途採用が難しい理由と背景
中途採用が難しいと感じている企業は多く、実際、厚生労働省のデータでも有効求人倍率は上昇傾向にあります。特に専門職や管理職、即戦力ポジションでは「企業より求職者の方が強い」状況です。
そのため、従来の求人媒体中心の採用方法では、求職者の興味を引けないケースが増加しています。
人材不足と採用市場の変化
少子高齢化により労働人口が減少し、企業間の人材獲得競争は激化しています。
求職者は複数企業の求人を比較し、自分の価値を最大化できる環境を選びます。
応募者が企業を選別する時代
今の求職者は企業の口コミ、社員の声、採用サイトの質、選考スピードまでチェックします。
すでにお分かりだと思いますが、企業が求職者を選ぶだけの時代は終わりました。
WEBページ、SNSなど求職者側も簡単に情報を調べることが可能です。
どのような仕事をしているのか、離職率はどうなのか?どんな人が勤務しているのか等、リサーチしてから応募してきます。
個人的な経験ですが、「逆に企業側が見られている」ことを理解している企業は、採用活動を上手くやっているイメージです。
採用の競争相手は「同業他社」だけではない
リモートワークや副業解禁により、競合は業界を超えて広がっています。
自社採用を成功させるには、採用力と発信力が欠かせません。
今まではハローワーク、求人情報サイトへ掲載すればよかったかもしれません。
しかし、ハローワーク、求人情報サイトを見た後に、会社のホームページ・SNSを確認するのが当たり前となっている事を理解しましょう。
中途採用を失敗する企業の特徴7選
中途採用でうまくいかない企業には、驚くほど同じ傾向があります。
人材不足の時代に採用を成功させるには、まず“やってはいけないこと”を理解しましょう。
①採用計画が曖昧で場当たり的
「人が辞めたからとりあえず募集」
「良さそうな人がいたら採用する」
この姿勢は高確率で失敗します。
理由はシンプルで、採用は「戦略」だからです。
いつ、どんな人材が必要なのか?
どんなスキルや経験、人物像が必要か?
これを明確にしないと、優秀な求職者から選ばれることはできません。
採用計画なし=求職者に魅力が伝わらない企業、ということです。
ちなみに・・「人がよく辞めている」「とりあえず採用活動を行なっている」は求職者にすぐにバレます。求人ページを見て、すぐに感じ取れます。
「あ、この会社は応募しちゃダメだ・・。」と言うアンテナがすぐに立ちます。
②求人票が抽象的で条件が不明確
ありがちな文章例:
コミュニケーション能力がある方
前向きに仕事に取り組める方
いやいや、それは全企業そうでしょ…という話です。
求職者が知りたいのは、
- 年収レンジと評価制度
- 業務内容と期待役割
- キャリアパス
- 働き方(リモート/出社/フレックス)
- どんなチームで働くのか
これらが曖昧だと、応募意欲は下がりますし、入社後のミスマッチも起きます。
自分が転職活動をしている立場をイメージすれば一番良いのですが・・難しいですよね。
私は悩む採用担当者に一言アドバイスをすると・・
「将来を考えて採用計画を立ててください!」
と伝えています。
「将来」と言うのは採用担当者、会社の将来ではありません。
(ここで自身の昇進考える人は居ないと思いますが・・・)
「応募を検討している人に将来を提示することです。」
未来なんて分かりませんが、当社で働いて行くとこんなコースがあるよ!と言うイメージです。
③自社採用サイトや求人ページが弱い
今の求職者は企業HPと採用サイトを必ず見ます。
にもかかわらず、
- 写真がない、文字だけ
- 社員紹介やインタビューなし
- 会社の思い・文化が見えない
- 求人媒体のテンプレ文章のまま
という採用サイトは多いです。
「求人広告を出してるから十分」ではありません。
応募前の候補者は、WEBサイトを通じて企業を評価します。
採用サイト=企業の“面接前の第一印象”
ここに投資できる会社は、採用が強くなります。
弊社はコーポレートサイト、採用サイトのご相談・ご依頼を多く頂きます。
ここから少し言い方が汚くなるかもしれませんがご容赦ください。
人材不足に悩む企業は正直言って、「採用活動に本気で取り組んでいるレベルではない」所が多いと感じています。ダメ出しみたいになりますが・・そもそも採用担当者が本気で取り組んでいないんですよね。
どこか他人事、他責にして本当にどうしたら良いか考えていなくて、実行もしてい内かったりします。
「ハローワークに出しているんですけど」
「○クナビNEXTや○ndeedに掲載しているんですけど来ません」
ヒアリングするとこんな感じです。
少し踏み込んで「これ以外に何か取り組もうと思っていることはありますか?」と質問すると、少し黙って・・「そこを悩んでるんですよ!」と半ば逆ギレする採用担当者もいます。
今のご時世、少し調べれば自社の採用計画に何が足りないかなんて簡単に分かりますし、次に何をしようか出てくるものです。(成功するかどうか関係なく)
特に社員30人以下の中小企業の採用担当者に多い感じです。
本気で考えて採用活動に取り組んでいる企業をリサーチしていないんです。
本気で取り組んでいる会社のコーポレートサイト、採用サイトを調べてみてください。
内容もしっかりしているし、検索対策もAI対策もしている所もあります。
④選考フローが遅い・面接が機械的
優秀な求職者は複数の企業から声がかかっています。
にも関わらず、
- 返信が1週間後…
- 面接の日程調整が遅い…
- 合否連絡が遅い…
- 社長面談まで2週間かかる…
これでは他社に流れます。
さらに、面接が質問だけで終わる企業も多いです。
求職者は「会社が自分を選ぶ場」ではなく、
「会社と自分がフィットするか確かめる場」と考えています。
選考は“相互評価”の場
という意識に変えましょう。
⑤給与・待遇が市場とズレている
採用を失敗する企業ほどこう言います。
人が足りない
でも給与は今まで通りで採用したい
競争環境を無視しては採れません。
給与だけの話ではなく、
- 柔軟な働き方
- リモート環境
- 成長支援制度
- 福利厚生
- 役職機会
これらも“条件”です。
市場水準とのズレはすぐに見抜かれます。
⑥カルチャーマッチを見ていない
スキルがあるから即採用。
でも後から馴染めず離職。
これ、非常に多いです。
カルチャーマッチが重要なのは、
「価値観のズレは努力で埋まらない」からです。
- 評価軸は明確か?
- 文化と言えるレベルの理念があるか?
- 面接で“価値観”を確認しているか?
スキルは研修で伸びる。
価値観は変わらない。
採用の本質です。
⑦入社後フォローが不十分
採用はゴールではなくスタートです。
なのに、
- オンボーディングなし
- 教育制度なし
- 期待役割が曖昧
- 上司任せの放置
- 1on1なし
これでは早期離職して当然です。
入社1〜3カ月のケア=定着率を決める最大ポイント
“入社後活躍”まで設計することが、
採用成功の条件です。
成功する企業が実践している中途採用の方法
採用がうまくいく企業には、明確な共通点があります。
採用ターゲットと採用時期の明確化
- いつまでに何人?
- どんなスキル領域?
- どんな価値観・姿勢?
- 配属後のミッションは?
これを社内で共有し、採用戦略シートを作成する企業は強いです。
求職者視点のWEBサイト・求人設計
求職者は、あなたの会社のサイトを見て判断します。
- 仕事内容が具体的にイメージできる
- 社員インタビューで安心できる
- ビジョンが明確
- 写真がリアル
- 若手・中途社員の声がある
「ここで働く自分」が想像できる採用サイトは強い
また、Indeedや求人媒体に丸投げする企業より
採用サイト運用企業は定着率も高い傾向です。
スピードと双方向コミュニケーション
- 24時間以内の返信
- こまめな連絡
- 会社説明や面談を柔軟に
- 一次面接から経営層が参加するケースも
「あなたを歓迎しています」という姿勢を見せるだけで、
応募者の熱量は大きく変わります。
よくある失敗事例と改善ポイント(実体験ベース)
応募は来るが辞退される企業例
原因
- 会社の魅力が説明できていない
- 面接で熱量が伝わらない
解決策
- 事業の未来を語る
- 経営者の想いを伝える
- 社内の雰囲気やビジョンを具体化
採用できてもすぐ辞める企業例
原因
- 仕事内容が面接時と違う
- 期待役割を共有していない
- フォロー不足
解決策
- 具体的な業務説明
- 入社後の30日オンボーディング
- 定期的な1on1とフィードバック
求人広告に予算を投じても成果が出ない例
原因
- メディア依存
- 実態は変わらず見せ方だけ変更
解決策
- 自社採用サイト整備
- 既存社員のストーリー活用
- SNS・Wantedly活用も有効
採用はマーケティングであり、ブランディングです。
まとめ|中途採用は「選ばれる企業」になる戦略が必要
中途採用で失敗する企業には共通点があります。
それは“自社視点だけで採用を進めている”ことです。
応募者が企業を選ぶ時代。
採用活動は、企業文化と未来を発信する広報活動です。
採用計画を作り、
求職者視点の情報発信を行い、
スピードと丁寧さで向き合う。
それが、中途採用成功の公式です。
採用は未来への投資。
今日から“小さな改善”を始めるだけで、
数カ月後の採用成果は大きく変わります。











