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2026.7.31

小規模事業者持続化補助金「創業型」の申請書の書き方

小規模事業者持続化補助金「創業型」の申請書の書き方

小規模事業者持続化補助金の創業型で採択されるには、「開業したばかりで資金が必要」という事情だけでは不十分です。創業者の経験、顧客ニーズ、市場性、提供する商品・サービス、販路開拓の取組、売上見込みが一貫した事業計画になっている必要があります。

本記事では、2026年に公募要領が公開された創業型第4回を前提として、対象要件、特定創業支援等事業、経営計画、補助事業計画、売上根拠、経費明細の書き方を解説します。創業実績が少なくても申請書の説得力を高める方法を、補助金コンサルタントの視点から具体例とともに整理します。

※本記事は2026年7月31日時点の情報に基づいています。実際の申請時には、補助金事務局が公開する最新の公募要領、参考資料、応募時提出資料・様式集、Jグランツ申請入力手引きを必ず確認してください。

小規模事業者持続化補助金の創業型とは

小規模事業者持続化補助金の創業型は、創業後1年以内の小規模事業者等による販路開拓や、その取組と併せて行う業務効率化を支援する補助制度です。

創業型第4回の補助上限は200万円、補助率は原則3分の2です。インボイス特例の要件を満たす場合は、補助上限額が50万円上乗せされます。対象経費には、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、新商品開発費、委託・外注費などがあります。

創業型第4回の基本情報

項目内容
正式名称小規模事業者持続化補助金〈創業型〉
公募回第4回
主な対象者創業後1年以内等の要件を満たす小規模事業者
補助上限額200万円
補助率原則3分の2
インボイス特例補助上限額を50万円上乗せ
主な目的創業期の販路開拓、生産性向上、事業基盤の構築
申請方法電子申請
必要なIDGビズIDプライム
申請受付開始2026年11月5日
申請受付締切2026年12月15日17時
様式4発行受付締切2026年12月4日
採択発表2027年3月頃の予定

第4回の申請受付開始は2026年11月5日、申請受付締切は2026年12月15日17時、事業支援計画書・様式4の発行受付締切は2026年12月4日とされています。申請締切よりも様式4の締切が早いため、直前から準備を始めると間に合わない可能性があります。

創業型と一般型・通常枠の違い

創業型と一般型・通常枠は、どちらも販路開拓を支援する補助制度ですが、対象者と審査で示すべき根拠が異なります。

比較項目創業型一般型・通常枠
主な対象創業後1年以内等の要件を満たす事業者既に事業を行っている小規模事業者
補助上限200万円通常50万円
実績の示し方創業者の経験、事前調査、見込み客、テスト販売過去の売上、顧客構成、販売実績
計画の中心創業期の顧客獲得と事業基盤づくり既存事業の課題解決と販路拡大
特有の要件特定創業支援等事業による支援創業支援の受講要件はない
審査上の特徴創業計画との整合性が重視される既存の経営実績との整合性が重視される

創業型は補助上限が大きい反面、創業時期と特定創業支援等事業に関する要件があります。

また、売上実績が少ない事業者も多いため、単なる過去実績ではなく、創業者の経験、市場調査、見込み客、事前予約、テスト販売などを使って実現可能性を説明することが重要です。

小規模事業者持続化補助金「一般型・通常枠」の書き方|審査項目から逆算する採択ポイント

創業型の申請要件を最初に確認する

創業型は、開業したばかりの事業者であれば誰でも申請できるわけではありません。

第3回以降は、特定創業支援等事業による支援を受けた日と、開業日または法人設立日が、公募締切から起算して過去1年以内であることが基本要件です。第4回の公募締切は2026年12月15日であるため、申請前に証明書、開業届、登記事項証明書の日付を確認する必要があります。

創業型の主な要件

確認項目内容
創業時期開業日または法人設立日が所定期間内である
創業支援特定創業支援等事業による支援を受けている
支援を受けた人法人代表者または個人事業主本人
事業者規模業種別の小規模事業者要件を満たす
所在地日本国内に所在する
販路開拓経営計画に基づく販路開拓等の取組である
事業開始補助事業終了までに商品・サービスの提供を開始する
重複一般型・通常枠と重複申請しない
過去利用過去の創業型等の利用状況に関する要件を満たす

法人の場合は、原則として代表者が特定創業支援等事業による支援を受けている必要があります。代表者以外の役員や従業員のみが支援を受けている場合は、要件を満たさない可能性があります。個人事業主の場合も、事業主本人が支援を受けていることが基本です。

開業前に近い状態でも申請できる場合がある

創業型では、申請時点で店舗がオープン準備中、ECモールへの出店準備中、営業活動開始前など、まだ商品・サービスの提供を開始していない事業者も対象になり得ます。

ただし、補助事業終了までに商品またはサービスの提供を開始し、事業活動を開始する必要があります。計画だけで事業を開始しなかった場合は、補助金が交付されない可能性があります。

特定創業支援等事業とは

特定創業支援等事業とは、認定市区町村または認定市区町村と連携した支援機関が実施する、創業者向けの継続的な支援です。

一般的には、経営、財務、人材育成、販路開拓など、創業に必要な知識を学ぶセミナーや個別相談として実施されます。

名称に「創業塾」「起業セミナー」と付いていても、すべてが特定創業支援等事業に該当するわけではありません。受講前に、市区町村や運営機関へ対象事業であるか確認する必要があります。

申請までの基本的な流れ

段階実施すること
1市区町村の特定創業支援等事業を確認する
2対象となるセミナーや個別相談を受講する
3所定の回数・期間の支援を修了する
4市区町村へ証明書の発行を申請する
5証明書を受け取る
6持続化補助金の申請書類に添付する

創業型の申請には、認定市区町村が発行する特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書が必要です。セミナー受講から証明書発行までに時間がかかる場合があるため、早い段階で手続きを進める必要があります。

よくある対象外のケース

ケース注意点
通常の創業相談だけを利用した特定創業支援等事業に該当するか確認が必要
代表者ではなく従業員が受講した法人代表者本人の受講が求められる可能性が高い
修了前である証明書を取得できない場合がある
証明書発行を申請していない受講修了証だけでは不足する可能性がある
証明書の日付が対象期間外創業型の申請要件を満たさない可能性がある
法人化前後で申請者が変わった開業日、設立日、支援を受けた人の整合性確認が必要

創業型を利用したい場合は、事業計画を書く前に、まず対象要件を確認してください。

創業型で採択されやすい申請書の基本構造

創業型で採択されやすい申請書は、次の7つの要素が一貫しています。

要素申請書で説明する内容
創業者の経験なぜ自分がこの事業を実行できるのか
創業の背景なぜこの事業を始めたのか
顧客ニーズ誰がどのような課題を抱えているのか
自社の強み競合ではなく自社が選ばれる理由
経営課題創業後の顧客獲得を妨げている問題
補助事業課題を解決する具体的な販路開拓
成果売上、売上総利益、顧客数などの増加

例えば、飲食店を創業した事業者が、次のように書いたとします。

開業したばかりで認知度が低いため、チラシとホームページを制作して集客したい。

この説明だけでは、ターゲット、顧客ニーズ、自社の強み、集客数、売上効果が分かりません。

改善すると、次のようになります。

申請者は飲食業界で12年間勤務し、そのうち5年間は店舗責任者としてメニュー開発と販促を担当した。商圏内の子育て世帯50名へ聞き取りを行ったところ、34名が「子どもと利用できる健康的なランチ店が少ない」と回答した。そこで、地元野菜を使用した親子向けランチを開発し、メニュー、アレルギー情報、座席設備を掲載したホームページと地域向けチラシで情報発信する。平日ランチの新規来店客を1日8組増やし、年間売上高360万円の増加を目指す。

この書き方では、経験、市場調査、提供価値、販促方法、売上目標がつながっています。

【2026年版】小規模事業者持続化補助金で採択される申請書の書き方|一般型・通常枠と創業型を徹底解説

審査項目から逆算して申請書を書く

創業型の採択審査では、提出資料に基づいて基礎審査、計画審査、加点審査が行われます。審査は原則として書面で行われ、申請内容を説明するヒアリングはありません。書類だけで事業の内容と実現可能性を伝える必要があります。

基礎審査

審査項目確認される内容
提出資料必要書類がすべて提出されているか
対象要件補助対象者、申請要件、対象事業に合致するか
遂行能力人員、資金、知識、スケジュールがあるか
主体性事業者自身の技術やノウハウを生かした取組か

必要書類が不足している場合や、申請要件を満たしていない場合は、計画内容を評価される前に失格となる可能性があります。

計画審査

創業型では、主に次の項目が評価されます。

計画審査項目審査で確認されること
自社分析の妥当性商品・サービスの強みと弱みを把握しているか
経営方針・目標市場と顧客ニーズを踏まえているか
補助事業計画の有効性具体的で実現可能性が高いか
創業計画との整合性創業支援で策定した計画を踏まえているか
新たな価値顧客に新しい価値を提供する取組か
デジタル活用デジタル技術を有効に活用しているか
積算の透明性経費が必要かつ明確に計上されているか

創業型では、特定創業支援等事業で策定した創業計画書等を踏まえた補助事業になっているかも審査されます。ただし、創業計画書を策定していないことだけを理由として、不採択や減点になるわけではないと公募要領に記載されています。

重要なのは、創業計画書の有無ではなく、創業時に考えた事業の方向性と、今回申請する販路開拓が矛盾していないことです。

申請書を書く前に集めるべき情報

創業型では事業実績が少ないため、情報が不足したまま書き始めると、抽象的な計画になりやすくなります。

申請書を書く前に、次の情報を集めてください。

分類集める情報
創業者職歴、経験、資格、実績、人脈
創業背景創業理由、解決したい顧客課題
顧客年齢、地域、職業、法人・個人
市場商圏人口、市場規模、需要の変化
競合商品、価格、立地、販売方法
商品特徴、価格、原価、提供方法
見込み客予約、問い合わせ、商談、SNS反応
テスト結果試験販売、モニター、イベント販売
販売計画集客方法、営業方法、販売チャネル
収支客数、単価、原価、固定費、利益
体制担当者、外注先、協力者
経費見積金額、数量、必要性

創業型では「実績がないこと」が問題なのではありません。

問題になるのは、実績が少ないにもかかわらず、需要や売上の根拠を何も示していないことです。

創業者の経験と創業動機の書き方

創業者の経験は、事業の実現可能性を示す重要な情報です。

ただし、単に勤務先と経験年数を記載するだけでは十分ではありません。

弱い書き方

飲食店で長年勤務した経験を生かして、カフェを開業した。

改善した書き方

申請者は飲食業界で12年間勤務し、調理、接客、仕入れ、原価管理を経験した。そのうち5年間は店舗責任者として10名のスタッフ管理と販促企画を担当し、平日ランチメニューの改善によって客数を前年同期比125%に増加させた。これらの経験を生かし、子育て世帯が利用しやすい地域密着型カフェを創業した。

経験を書くときの項目

項目記載内容
業界経験何年、どの業界で働いたか
担当業務接客、営業、製造、管理など
専門能力資格、技術、知識
実績売上改善、顧客獲得、受賞歴
人脈仕入れ先、協力者、見込み客
創業事業との関係経験をどのように生かすか

創業動機は、夢や熱意だけで終わらせず、顧客課題と結びつけます。

創業動機の弱い例

昔から自分の店を持つことが夢だった。

創業動機の改善例

前職で高齢者から「店舗まで行けず、必要なサービスを受けられない」という相談を多数受けた。地域の高齢化が進む一方、訪問型サービスを提供する事業者が少ないことから、経験を生かした訪問サービスを創業した。
個人的な動機と市場の課題をつなげることで、事業の社会的・経済的な必要性が伝わります。

顧客像は具体的に設定する

「地域住民」「幅広い年代」「すべての企業」といった表現では、販路開拓の方法を具体化できません。

顧客像は、できるだけ細かく設定します。

項目個人向け事業の例
年齢35~50歳
性別女性
地域店舗から車で15分圏内
家族構成子育て世帯
悩み子どもと利用できる店舗が少ない
購入基準安全性、料金、アクセス
情報収集Google検索、Instagram
利用頻度月1~2回

法人向け事業では、業種、従業員規模、所在地、担当部署、発注頻度、現在の課題などを設定します。

法人顧客の例

名古屋市内に所在する従業員20~100名の製造業を対象とする。対象企業は小ロット加工を外注しているものの、既存の外注先では納期が長く、試作品の開発スピードが遅いという課題を抱えている。

顧客像が具体的になれば、広告媒体、営業方法、商品内容、価格設定も明確になります。

顧客ニーズと市場性を根拠で示す

創業型では、顧客ニーズを「あると思う」ではなく、調査結果で示す必要があります。

顧客ニーズの根拠に使える情報

根拠具体例
アンケート利用意向、希望価格、要望
聞き取り顧客の悩み、既存サービスへの不満
事前予約開業前に獲得した予約件数
問い合わせSNSや紹介からの相談
テスト販売販売数、購入率、客単価
商談見積依頼、発注意向
SNSフォロワー、保存数、メッセージ
公的統計人口、世帯、企業数
競合調査店舗数、商品、料金、口コミ

弱い説明

健康志向が高まっているため、オーガニック食品には需要がある。

改善した説明

商圏内に居住する30~50代女性80名へアンケートを行ったところ、46名が「無添加食品を購入したいが、近隣に専門店がない」と回答した。2026年5月に地域イベントで実施したテスト販売では、用意した120商品中104商品を販売し、購入者の38%が次回購入を希望した。

市場全体の傾向に、自社が実施した調査を組み合わせることで、説得力が高まります。

競合分析と自社の強みの書き方

創業型では、「競合がいない」と書くより、競合を正しく把握して違いを説明した方が評価されやすくなります。

直接競合だけでなく、顧客が代わりに選ぶ商品やサービスも競合です。

競合比較表の例

比較項目自社競合A競合B
主な顧客子育て世帯幅広い年代若年層
商品親子向け健康ランチ一般的なランチスイーツ中心
価格1,500円1,000円1,300円
キッズ設備ありなし一部あり
アレルギー表示全商品なし一部
予約ウェブ予約電話予約不可

自社の強みは、「丁寧」「高品質」「地域密着」などの抽象語ではなく、顧客にとっての具体的な価値として説明します。

強みの具体化

抽象的な表現具体的な表現
経験が豊富業界経験12年、店舗責任者経験5年
専門性が高い国家資格と専門資格を保有
地域密着商圏内の団体3社と連携
品質が高い地元生産者から当日仕入れ
丁寧に対応初回相談に60分を確保
独自性がある競合が提供していない組み合わせ

創業者が持つ強みと、顧客ニーズが一致していることが重要です。

創業期の経営課題を明確にする

創業期の事業者が申請書に書きやすいのが、「認知度が低い」「集客できていない」という課題です。

しかし、これだけでは具体性がありません。

課題を分解する

表面的な課題深掘りした課題
認知度が低いターゲットに情報を届ける媒体がない
集客できない商品の特徴や料金が伝わっていない
売上が少ない商談数が不足している
成約しない実績や信頼情報が不足している
リピートされない顧客との継続接点がない
客単価が低い高付加価値商品が知られていない

例えば、ホームページ制作を申請する場合、課題は「ホームページがないこと」ではありません。

本質的な課題は、次のように書きます。

創業者の紹介による問い合わせは月5件あるが、紹介以外の問い合わせは月1件以下である。サービス内容、料金、事例を確認できる媒体がなく、見込み客が問い合わせ前に不安を解消できないことが課題である。

この課題であれば、ホームページ制作の必要性を説明できます。

経営方針・目標の書き方

経営方針では、創業期の課題をどのように解決し、事業をどの方向へ成長させるかを示します。

弱い目標

広告を実施して多くのお客様を集める。

改善した目標

創業者の知人紹介に依存した集客構造を改善し、名古屋市内の小規模製造業を対象としたウェブ集客と法人営業を開始する。2027年度までに月間問い合わせを2件から10件へ、年間受注件数を12件から36件へ増加させ、年間売上高720万円、売上総利益432万円を確保する。

良い目標の条件

条件内容
対象が明確誰へ販売するか
商品が明確何を提供するか
販路が明確どの方法で販売するか
数値がある客数、単価、売上、利益
期限があるいつまでに実現するか
実現可能現在の体制で達成できるか

売上目標だけでなく、問い合わせ件数、商談件数、成約率などの中間指標も設定すると、計画の現実性が高まります。

創業計画書と補助事業計画を一致させる

創業型で重要なのが、創業時の計画と今回の補助事業計画との整合性です。

確認する項目

項目確認内容
事業内容創業時と大きく異なる事業になっていないか
ターゲット対象顧客が矛盾していないか
商品・サービス主力商品が突然変更されていないか
売上計画数値が大きく食い違っていないか
資金計画自己資金、融資、補助金の関係が明確か
設備創業資金で購入するものと重複していないか
販売方法当初計画から変更した理由があるか

計画が変更されること自体が問題なのではありません。

創業後の顧客反応や市場調査を踏まえて変更した場合は、その理由を説明します。

計画変更の説明例

創業計画では個人顧客向けの店舗販売を中心としていたが、開業後の問い合わせ15件中9件が法人からの大量注文に関する相談だった。法人需要の存在が確認できたため、法人向け商品を新たに開発し、営業資料と専用ページを制作する計画へ変更した。

根拠のある計画変更は、事業者が市場を把握している証拠になります。

補助事業計画は具体的に書く

補助事業計画では、「何を購入するか」ではなく、「誰にどのような価値を届けるために、何を実施するか」を書きます。

事業名の悪い例

ホームページ制作事業

広告宣伝事業

設備導入事業

事業名の改善例

子育て世帯向け健康ランチの認知拡大を目的としたウェブ・地域販促事業

小規模製造業の短納期ニーズに対応する加工設備導入と法人販路開拓事業

高齢者向け訪問サービスの予約獲得を目的とした情報発信基盤構築事業

補助事業計画に書く項目

項目記載する内容
目的どの経営課題を解決するか
ターゲット誰を新規顧客にするか
取組内容何をどのように実施するか
商品・サービス顧客へ何を提供するか
販売方法広告、営業、店舗、ECなど
実施時期いつ実施するか
担当者誰が実施・管理するか
外注先何を外部へ依頼するか
数値目標問い合わせ、客数、売上
継続方法補助事業終了後にどう運用するか

ホームページを制作する場合も、ページ数やデザインだけでなく、ターゲット、掲載内容、集客方法、公開後の更新、効果測定まで記載します。

売上計画は計算式で示す

創業型の申請書で特に重要なのが、売上見込みの根拠です。

創業直後は過去実績が少ないため、客数、単価、営業件数、成約率を分解して計算します。

店舗型事業の例

項目数値
新規顧客1日8人
営業日月25日
客単価1,500円
月間売上30万円
年間売上360万円

計算式は次のとおりです。

1日8人×月25日×客単価1,500円×12か月=年間360万円

法人営業型の例

項目数値
月間営業件数20社
商談化率25%
成約率20%
月間受注1件
平均受注額30万円
年間売上360万円

月20社×商談化率25%×成約率20%×平均受注額30万円×12か月=年間360万円

EC事業の例

指標補助事業後
月間アクセス数3,000
購入率1.5%
購入件数45件
客単価6,000円
月間売上27万円
年間売上324万円

数値を置くだけではなく、なぜそのアクセス数、購入率、成約率を見込めるのかも説明します。

売上根拠として使える情報

  • テスト販売の購入率
  • 開業前の予約件数
  • 現在の問い合わせ数
  • 前職での営業実績
  • 見込み顧客への聞き取り
  • 広告会社や制作会社の試算
  • 同一商圏の人口と利用率
  • 競合店舗の客数調査

売上総利益と資金繰りも示す

売上が増えても、原価や外注費が高ければ十分な利益は残りません。

創業型では、売上高と併せて売上総利益を計算することで、事業の収益性を説明できます。

項目年間金額
売上高360万円
材料費108万円
外注費36万円
売上総利益216万円
売上総利益率60%

補助金は原則として後払いです。事業者が先に経費を支払い、補助事業完了後に実績報告を行い、補助金額が確定してから入金されます。申請時には、自己資金や融資によって事業費を一時的に負担できるか確認する必要があります。

資金計画の確認項目

確認項目内容
自己資金現在用意できる現預金
融資金融機関からの借入予定
支払時期設備、制作、広告の支払日
運転資金家賃、仕入れ、人件費
税金消費税等の対象外負担
入金時期補助金が入金されるまでの期間

補助金を受け取るまで資金が持たない計画では、事業遂行能力を疑われる可能性があります。

実施スケジュールと担当者を明確にする

補助事業の実現可能性を示すには、実施時期、担当者、成果物を表にします。

時期実施内容担当者成果物
2027年5月仕様確定、発注先選定代表者仕様書、見積書
2027年6月商品開発、試作代表者試作品
2027年7月写真撮影、原稿作成代表者・制作会社写真、原稿
2027年8月サイト・販促物制作制作会社テスト版
2027年9月公開、広告開始代表者公開サイト
2027年10月以降効果測定、改善代表者月次レポート

外部業者に依頼する場合でも、事業者自身の担当業務を書きます。
企画、原稿確認、顧客対応、効果測定まで外注先任せにすると、事業者の主体性が伝わりにくくなります。

補助対象経費と経費明細の書き方

創業型の主な補助対象経費は、次の8区分です。

経費区分主な内容
機械装置等費販路開拓に必要な設備・機械
広報費チラシ、パンフレット、広告
ウェブサイト関連費ホームページ、EC、システム
展示会等出展費展示会、商談会への出展
旅費販路開拓に必要な旅費
新商品開発費試作品、包装、開発材料
借料会場、設備等の賃借
委託・外注費店舗改装、専門業務の外注

経費明細では、「一式」という表現を減らし、数量、単価、仕様を明確にします。

不明確な経費明細

経費金額
ホームページ制作一式100万円
広告一式30万円

改善した経費明細

経費区分内容単価数量金額
ウェブサイト関連費サイト設計・デザイン250,000円1式250,000円
ウェブサイト関連費ページ構築30,000円10ページ300,000円
ウェブサイト関連費予約フォーム構築100,000円1式100,000円
広報費チラシデザイン80,000円1式80,000円
広報費チラシ印刷50円3,000部150,000円
広報費SNS広告配信100,000円2か月200,000円

経費は、補助事業計画の本文に登場する取組と一致させます。

本文に書かれていない費用を経費明細へ入れたり、本文で説明した取組に必要な費用が計上されていなかったりすると、計画の整合性が低下します。

ホームページ制作を申請する際の注意点

創業型では、ホームページやECサイトを使った販路開拓を計画する事業者が少なくありません。
しかし、「創業したのでホームページが必要」という説明だけでは弱い申請書になります。

ホームページの必要性を説明する構成

項目記載内容
ターゲット誰が閲覧するか
顧客課題どの情報が不足しているか
掲載情報商品、料金、事例、FAQ
機能予約、問い合わせ、購入
集客方法SEO、SNS、広告、営業
成果測定アクセス、問い合わせ、成約
更新体制誰がどの頻度で更新するか
売上効果問い合わせ数と売上の計算

弱い例

会社の信用力向上のため、ホームページを制作する。

改善例

現在はInstagramから月5件の問い合わせがあるが、料金、対応地域、サービスの流れを掲載できておらず、問い合わせ後の成約率は20%にとどまっている。料金、実績、FAQ、予約フォームを備えたホームページを制作し、問い合わせ前に不安を解消することで、月間問い合わせ10件、成約率40%を目指す。

ホームページ制作そのものではなく、顧客獲得の仕組みを説明してください。

創業型で不採択になりやすい申請書の共通点

1.創業者の熱意だけで構成されている

長年の夢を実現するため、地域に愛される店舗を作りたい。
熱意は重要ですが、顧客ニーズや収益性の根拠にはなりません。

2.特定創業支援等事業の要件を満たしていない

証明書を取得していても、支援を受けた人、支援日、開業日、法人設立日が要件に合わなければ申請できない可能性があります。

3.顧客が「地域住民」だけになっている

ターゲットが広すぎると、商品、広告、販売方法が曖昧になります。

4.市場調査が一般論だけである

市場が拡大しているため需要がある。
会社の商圏や顧客に需要がある根拠が必要です。

5.創業計画と補助事業が矛盾している

創業計画では店舗販売を中心としているのに、補助事業では説明なく法人向け事業へ変更しているケースです。

6.売上計画が希望的観測になっている

広告を実施することで、売上が50%増加する。

問い合わせ件数、成約率、客単価などの計算が必要です。

7.補助金がなければ実行できない計画になっている

補助金は事業そのものを成立させる資本金ではありません。補助事業以外の創業費、運転資金、日常経費を確保する必要があります。

8.経費の大部分が単なる開業費になっている

通常の事業活動に必要な設備、汎用性の高い備品、補助事業と直接関係しない費用は、補助対象外になる可能性があります。

9.すべてを外注先に任せている

申請書、ウェブ運用、顧客対応、効果測定をすべて外注する計画では、主体性と継続性が伝わりません。

創業型の申請書記載例

ここでは、創業したばかりのパーソナルトレーニングジムを例にします。

創業者の経験

申請者はフィットネスクラブで10年間勤務し、延べ800名以上の運動指導を担当した。健康運動指導士の資格を保有し、40代以上の運動初心者に対する減量・腰痛予防プログラムの企画経験がある。

顧客ニーズ

商圏内に居住する40~60代男女100名へアンケートを実施したところ、61名が「大型ジムでは器具の使い方が分からない」、48名が「体力に不安があり、個別に指導してほしい」と回答した。

自社の強み

運動初心者に特化し、初回に姿勢、筋力、生活習慣を確認した上で、1回30分の無理のないプログラムを提供する。大型ジムと異なり、毎回同じ担当者が指導する。

経営課題

体験利用者の成約率は60%である一方、創業者の知人紹介以外の体験予約は月3件にとどまっている。ターゲットが求める安全性、指導内容、料金をウェブ上で伝えられていないことが課題である。

補助事業

40~60代の運動初心者を対象としたホームページを制作し、指導内容、料金、利用者事例、FAQ、予約フォームを掲載する。商圏内へチラシ3,000部を配布し、地域を限定したSNS広告を2か月実施する。

売上効果

項目数値
増加体験予約月7件
入会率60%
新規入会月4.2人
月額料金24,000円
平均継続期間6か月
年間売上効果約362万円

計算式は次のとおりです。

月7件×入会率60%×月額24,000円×平均継続6か月×年間6回の獲得サイクル
実際には入会時期や解約率を踏まえ、月別の会員数推移として計算すると、より正確になります。

申請までの推奨スケジュール

創業型は、特定創業支援等事業の受講や証明書発行が必要になるため、一般型より早めの準備が必要です。

時期実施内容
締切4~6か月前特定創業支援等事業の対象確認・受講
締切3か月前証明書の発行申請、GビズID取得
締切2か月前市場調査、顧客アンケート、競合調査
締切6週間前商品・販路・数値計画を決定
締切1か月前見積書取得、申請書初稿完成
様式4締切2週間前商工会・商工会議所へ相談
様式4締切前事業支援計画書の発行依頼
申請1週間前添付書類、加点資料を確認
申請3日前Jグランツで申請完了

第4回では様式4の発行受付締切が2026年12月4日、申請受付締切が12月15日17時です。様式4の発行依頼は受付締切後にはできないため、余裕を持って管轄の商工会・商工会議所へ相談してください。

生成AIやコンサルタントを利用する際の注意点

生成AIを使えば、文章の整理、見出し作成、表への変換、誤字脱字の確認は効率化できます。
一方で、AIが作った一般的な文章だけでは、自社固有の顧客ニーズや市場性を示せません。

AIを活用できる作業

作業活用方法
構成整理審査項目に沿って見出しを作る
文章修正結論を先にした文章へ整える
表作成売上、競合、スケジュールを整理
計算確認客数、単価、成約率を計算
誤字確認表記揺れや脱字を確認

事業者自身が用意する情報

  • 創業者の実際の経験
  • 顧客アンケート
  • テスト販売結果
  • 予約・問い合わせ件数
  • 競合との違い
  • 原価と利益率
  • 見積書
  • 実施可能なスケジュール
  • 資金繰り

公募要領では、事業者自身が検討していると認められない申請や、第三者支援を受けているにもかかわらず支援者等を申告していない申請は、不採択や交付決定取消につながる可能性があるとされています。

コンサルタントへ依頼する場合も、事業計画を丸投げするのではなく、事業者自身が内容を理解し、数値と取組を説明できる状態にしてください。

よくある質問

創業型は開業前でも申請できますか?

税務上の開業日または法人設立日などの要件を満たし、創業間もなく事業活動開始前の事業者であれば対象になり得ます。ただし、補助事業終了までに商品・サービスの提供を開始する必要があります。

特定創業支援等事業を受けていない場合は申請できますか?

創業型では、原則として特定創業支援等事業による支援を受け、認定市区町村が発行する証明書を取得する必要があります。

創業セミナーを受講すれば申請できますか?

すべての創業セミナーが対象ではありません。受講予定の講座が特定創業支援等事業に該当するか、市区町村または運営機関へ確認してください。

個人事業から法人化した場合は申請できますか?

個人事業の開業日、法人設立日、支援を受けた人、過去の補助金利用状況によって判断が変わる可能性があります。自己判断せず、事務局や商工会・商工会議所へ確認してください。

売上実績がなくても申請できますか?

申請できる場合があります。ただし、顧客アンケート、テスト販売、予約、商談、創業者の経験などを使って需要と実現可能性を示す必要があります。

ホームページ制作費は補助対象になりますか?

販路開拓に必要なウェブサイト関連費は、一定の条件を満たせば対象となる可能性があります。ホームページ制作だけを目的にせず、ターゲット、集客方法、売上効果、継続運用まで説明してください。

店舗の内装工事は対象になりますか?

販路開拓に直接必要な店舗改装等は、委託・外注費として対象になる可能性があります。ただし、単なる開業準備費や通常の修繕費と判断される場合もあるため、公募要領と見積内容の確認が必要です。

補助金はいつ入金されますか?

補助金は原則として後払いです。交付決定後に事業を実施し、支払いを完了して実績報告を提出した後、補助金額が確定してから入金されます。

採択されれば必ず200万円もらえますか?

200万円は補助上限額です。補助対象経費、補助率、審査結果、実績報告の確認によって実際の交付額が決まります。申請額がそのまま交付されるとは限りません。

コンサルタントへ申請書作成を依頼できますか?

専門家の支援を受けることはできますが、申請者自身が計画を理解し、主体的に策定する必要があります。第三者の支援を受けた場合は、公募要領に従って支援者や料金等を申告してください。

記事執筆

名古屋のホームページ制作・看板デザインは株式会社ゾッド

株式会社ZoDDo(ゾッド)

名古屋を拠点にホームページ制作、看板デザインを始め広告制作を行う株式会社ZoDDoです。主にWEB・ホームページ制作をメイン事業とする広告制作会社です。コーポレートサイト制作、採用サイトの制作やWEBリニューアルの経験・実績が多数あります。検索順位・アクセス数を改善するSEO対策に関するノウハウもあり、数多くの企業のWEB集客を支援しています。